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■ HOUSE-ITの設計ノート (基本設計)
 設計の方法は、さまざまなアプローチがあります。建築の要求されたプログラムをどのように解釈するかにより、建物全体の漠然としたイメージをメタファーとして抽出する方法、コンセプチュアルで論理的な思考によるもの。当事務所では建築の種類、規模、プログラムの複雑さによって、ケースバイケースで設計方針をたてて最良の方法(模型・CG・スケッチ等)でスタディーしています。
 戸建住宅ではスタディ用模型1/100又は1/30を作成します。設計期間は基本計画から実施設計完了まで4ヶ月から6ヶ月を要します。

■    基本計画から基本設計へ

■          敷地調査  
 建築計画の常として、まず建設地の状況把握から始めます。この計画の場合もスケッチを始める前に敷地を見に行きました。クライアントから聞いていたとおり、その敷地は住宅街の中央にあるのですが西側隣地はかなりの広範囲が田畑になっていて非常に見通しがよいのです。さらに、児童公園からの道路がまっすぐ伸びてきて敷地南正面に突き当たります。
 通常のプランではプライバシー確保が難しいのでは。と考えつつ基本計画を始める。
地盤の状態も気になるので、サウンディング試験で地盤調査を行いました。


■ 設計手法 (設計プロセス)

 プライバシーの確保と南北に細長い敷地という観点から、素直にコートハウスのイメージがわいてきました。ただ、西側隣地からはランドマーク的な建物となりえることも考慮しなければなりません。スタディー開始……3案作成して、クライアントに提案。3案の中でもっとも選ばれる可能性が少ないと思っていた左案(手書きスケッチと模型)が実施案に決定しました。クライアントいわく、「とても楽しそうな空間で、面白い形、それにどこにもないような個性的な住宅で気に入りました。とても、感動しました。」 さて、これからが大変。スケッチを上から下から眺めながら、屋根のカーブをどんな構造とディテールで詳めようか。建物はローコストのためにすべて木造とし、曲がり集成梁はコストオーバーのために使用不可とする。基本設計はコ型コートハウスで円い屋根、そして居間吹抜けとウッドデッキ、浴室・洗面所はトップライト付きと順次決定して完了しました。次は実施設計です。いつもながら、徹夜の連続が始まります。 
厚紙で作成の1/100模型
       



















ダンボールで作成の1/30模型

          実施設計

 屋根のカーブは、母屋を屋根勾配に合わせて910ピッチに掛け渡すことで決着。きれいな円弧になるようにディテールを工夫しました。各詳細図(下図等)を仕上げながら左模型も同時作成。開口部の位置、広さ、屋根勾配の曲率を検討する。模型は縮尺1/30のダンボール製。屋根が取り外し可能で、内部空間とインテリアの検討にも使用しました。造作家具、テーブルはバルサ材で作成。
 1/30のスケールだと妙にリアル感がでてくる。CGでのリアル感はだれもが認めるところですが、この手作りのアナログ模型は無彩色で材質感のない世界。それは、光と影による空間シュミレーションです。イメージがどんどん膨らむ不思議な世界なのです。
 この段階までくると、かなり詳しい部分の検討がはじまります。階段、手摺、トップライト、カウンター、浴室.洗面所など詳細図とスケッチを数十枚書きます。……ある日、クライアントから突然連絡があり、一瞬変更があるのかとドキリ。しかし、そうではなくて模型をもう1度見せて欲しいとのことで、ホッとひと安心。階段スケッチをお見せしながら、壁はブルー、手摺はレッド、収納はイエローがいいと思うのですがと説明したところ、多少ギョとした表情をされましたが、「細かいところは島田さんにすべてお任せします。」とのやさしいお言葉をいただきました。涙、涙。……建築詳細図、造作収納図、照明計画を無事終えて実施設計完了。実施図面はA2版で56枚、スケッチは原寸図を含めて数十枚でした。(このころは手書き図面です。現在はCADで図面作成しています。) 計画開始から約6ヶ月間の設計作業でした。
※ 建築の種類、規模により模型の縮尺は変わります。
断面詳細図1(A2版s1/30)
断面詳細図2(A2版s1/30)
一級建築士事務所  島田博一建築設計室
copylight @2002-2009 hirokazu shimada  architect & associates all right reserved.


■ 模型と図面でのスタディー (実施設計)